Essay II

漢字指導法の提案

青鹿 義和

 幼稚園で漢字教育を採用して10年経過した。幼児に漢字を与えてみると全く抵抗無く受け入れる。漢字を遠ざける小学校低学年の漢字政策に疑問を持ち自分で小学生に漢字を教えたくて課外の漢字クラブを開講して2年目になる。その実践をもとに漢字指導法の改善提案をしたい。

1 読み先習

 読み書き同時学習が文部省の方針であるが、読みは易しく書きが難しいのは誰もが知っている。初めからルビをふってでも漢字に触れさせる事が大切である。

 子供向けの本で漢字が使われているものを探すのが大変だが、漢字の使われている文章をどんどん読ませる。慣れると子供は平仮名ばかりの本より漢字で書かれた本を好むようになる。

 四字熟語の読みと簡単に意味を説明し、カードにしてかるたとりをする。低学年では繰り返しが大切であり、遊びにすることが楽しく学習することになる。唐詩、論語等漢文も読ませると驚くほど抵抗無い。最近、文部省は書きは後にしてもよいとする方針を出したが、漢字配当表をそのままで書きを遅らせても時期を逸してしまうだけだと思う。読みを早めることが必要である。

2 書きは部首から

 学校では部首は3.4年に簡単に学習するが、1年生から学習させたい。漢字配当表では漢字の一部である部首が、複合された字よりも後になる傾向にある。例えば「議」4年、「義」5年、「我」6年といった具合である。書きは易しいものから複雑なものへ発展するのが道理である。部首の名前、意味や書き順を学習しておけばそれが組合わさった複雑な字でも理解が容易である。部首名もかるたにすると楽しく覚えられる。実際に部首名を覚えると初めての漢字でも部首を発見する喜びがあり、漢字に対する興味が湧くようである。

3 解字を早くから教える

 漢字の面白さは組み合わせにあるといって良い。1年生から部首の名前と意味を教える。漢字の字形はただ闇雲に覚えさせるより、部首名を教えて覚えさせた方が字形の認識の仕方から違ってくる。記憶する前に認識の仕方が大切である。部首の持つ意味を説明してやれば解らない字でも想像が付く。元素記号で化合物の性質がわかるというようなものだ。

 部首の次は形声文字の音符の説明をする。部首が意味を表し、残りの部分が字音を表すという形声文字の仕組みを教えることにより漢字の興味が一層増す。漢字の85%が形声文字であるということから殆どの漢字の性質を学んでから会意・象形・指事文字の仕組みを理解させる。

 このように漢字の基本的仕組みについて理解してから新出漢字について説明していく方が覚えやすい。少し解字をやると旧字体の説明が必要になってくる。旧字体を知るとさらに解字に興味が湧く。現在の学校教育では漢字の最も基本的仕組みについて学習させることなく単に字形と音訓の丸暗記を強いている。解字まで覚えさせては負担が大きいと言う声も出そうだが、字についての情報は多いほど記憶の手掛かりも多いのである。大人でも人の顔や名前を覚えるのには、特徴の他に出身や趣味など個人の情報が多いほど記憶の助けになると言うことは体験している。

 「なぜこういう字形なのか」、漢字についての「なぜ」「どうして」は知らなくても困らないが、知っていると理解が深くなるし、同音異字の使い分けに役に立つ。 教育漢字、常用漢字だけでは日本語を正しく継承していくことはとてもできない。漢字文化の正しい理解が国語学習に不可欠といえる。

 日本語の乱れ、文字の乱れが最近ひどくなっている。アナウンサーでもら抜き言葉だし、新聞でもどこかに誤字がある。美しい日本語を何とかして守りたいと微力を尽くしている。まだ開講2年目で実践が不足しているが、指導の手応えを感じている昨今である。

sirayuri(#AtMark#)mb.infoweb.ne.jp

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